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江口玲ピアノリサイタル・Dance Brillante !! [ピアノ]

6/19は、大好きなピアニスト、江口玲さんのリサイタルに行ってきました。
この日のピアノは、ホロヴィッツ初来日の楽器、NYスタインウェイ CD75。
その調律は、オーナーでもあるタカギクラヴィアの高木社長。
この組み合わせが始まって3年目に突入。もうすっかりファンにはおなじみです。
 
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その初めての場は、2年前、2011/06/19 タカギクラヴィア松濤サロンにて、
ファンの集いのというわずか50人程度のファンのためのミニコンサート。(=> これ)
 
2回目の去年の06/19は浜離宮朝日ホール。(=> これ)
あの台風直撃の日は、このピアノが迎えた100歳の誕生日。
会場内も嵐のような大興奮のリサイタル。
CD75にとって1983年にホロヴィッツとステージに上がってから実に29年ぶりのステージ復帰。

そして今年の6/19 東京オペラシティ・リサイタルホールという小ぶりのホール。
2年前のファンの集いの拡大版みたいな、目の前で演奏を楽しむ事が出来るコンサート。

この日のコンサートのコンセプトは、当日のプログラムの文章に書かれていました。
 
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おじいちゃんピアノの101歳の誕生日を祝うダンスパーティ。
この楽器の良さが一番良く出せる曲をと、江口さんが練りに練った熱いプログラム。
タンゴ、ルネッサンスのガリヤルド、東欧の舞曲、ポロネーズ、ワルツとさまざまなダンス。

<曲目>

アルベニス/ゴドフスキー タンゴ
バード パヴァーヌとガリアルド第5番
バルトーク ルーマニア民族舞曲
ブラームス ハンガリアン舞曲集より 第1, 2, 5, 6番
ショパン 幻想ポロネーズ
 
(休憩)

シューベルト/リスト ヴァルツ・カプリス 第6番
ゴドフスキー シュトラウスの「こうもり」による演奏会用パラフレーズ
リスト メフィストワルツ

最初は、CD75のオーナーでもあり、調律師でもある高木さんからの挨拶。
この楽器は貴重だからと言って、博物館に飾ってしまったら、楽器としては死んでしまう。
 
やはり楽器は音が命。ステージの上で歌ってこそ生きる。。。
 
非常に重い、責任感にあふれた言葉でした。

江口さんの演奏はアルベニスのタンゴでスタート。
何度か聞いた事がある曲で、ウチのクラヴィノーバのデモ演奏にも入っていて、
実はいつか弾きたいと思っておりました。。(^^;
このピアノの音の美しさを、まずは静かに楽しむような演奏。
時折聴こえる高音のピアニッシモの「ちゃら~ん」という装飾音が、すごくチャーミング。
それがまたゆったりと歌う中音の美しさを際立たせます。。。のっけから涙涙。。

バッハ以前の時代の静かな曲のガリヤルドを挟んだあとの、
バルトークのルーマニア舞曲と、ブラームスのハンガリー舞曲。
このあたりからこのコンビの凄まじいパワーがさく裂。
ppppからffffまでのダイナミックレンジと、瞬時に入れ替わる音色と表情。
静かな吸い込まれるような恐ろしい美しさのメロディと、
圧倒的な迫力で固唾をのむしかない激しい曲調のところの対比。

この日の江口さんは普段よりも眼光が鋭いような、
何かにとり付かれたような、何がここまでそうさせるのか、というくらい、すごい気迫でした。

#こちらは感動で止まらない涙と鼻水・・・(*_*)☆\バキ!
 いやいや、周りを見ると同じような人が何人も・・・


オーケストラではよく演奏されるブラームスのハンガリー舞曲。ピアノの生は初めて。

実は何年か前に、バウアー演奏のリプロデューシングピアノのCDで6番を聴いて、
オーケストラとはだいぶ迫力が違うけど、これもいいね、と思ってました。
あわよくば、それをいつか弾けたら、、、しかし楽譜見るとこれが仰天の難しさ(+_+)

ですが、この日の演奏は、オーケストラのあの迫力までも、
江口さんがあのピアノで実現してしまっていました。。。
高音の金管、中音の弦楽器、低音の打楽器、、、みえるみえる、フルオーケストラがーっ!!

前半最後は、ショパンの幻想ポロネーズ。
ハンガリー舞曲の早いテンポからガラッと変わって、低音から始まって、ゆっくりと
高音のppppへと昇っていく・・・・このppppがあのピアノならではのpppp。
どんなに小さな音でもホールの一番奥までしっかり届く、必殺のppppで曲の初めからまた涙。。
あの音はあのピアノを信頼し、ピアノがそれに応える、そんな真の音楽家ならではの技。

しっかり余韻まで堪能してから爆発する拍手!そして、どよめきが起こりながら休憩へ。

後半はホロヴィッツがよく弾いていた2曲を含めて3曲のワルツ。

ふと思えば、これはもしや、ホロヴィッツ2度目の来日の時、宿泊先のホテルにあった、
今やタカギクラヴィアさんの重鎮ピアノの1つの、
1887年製ローズウッドのスタインウェイ(=> これとかこれ)と
ホロヴィッツの再会のシーンの再現でもあるのでしょうか。。

彼の専属調律師だったフランツ・モアさんの著書にその辺の話が書いてあります。
 
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「踊れ!踊れ!みんなおどって!」
 
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#このピアノを気に入ったホロヴィッツは2時間くらいも喜んで演奏したとか!
 
「こうもり」はローズウッドのピアノでの江口さんのCDで初めて聞いた、超絶技巧の華麗な曲。
いつか生で聴ければと思っていましたが、ついにそれが現実に。
高音で歌う「こうもり」の主旋律に寄り添うように湧き上がる低音のハーモニーの美しさに驚愕。
やっていることは極めて高度ですが、それをなんでもないかのように極めて自然に音で表現。。。

ホロヴィッツの愛したピアノでホロヴィツの愛奏曲であるメフィストワルツをプログラムの〆に持ってくるあたり、
このコンサートにかける江口さんと高木さんの、この貴重な楽器への尊敬と責任感が伝わってきます。

知っている人はどうしても比較してしまいます。

しかしこの日の演奏はそんな人をも唸らせる表情の豊かさ、美しさ、勢い、緊張感に満ちていたと思います。
ホロヴィッツもにっこりしていたのではないかと感じました。
観客として、こんな凄い場に同席出来たことを感謝せずにはいれません。

鳴りやまない拍手に続くアンコールは、
 
シューベルト作曲リスト編曲「セレナーデ」
#↑ なんと初見による演奏だった!!
バッハ作曲コルトー編曲「アリオーソ」。

そして、江口さんのアドリブによる「Happy Birthday」で、
CD75の101歳誕生日ダンスパーティーはお開きとなりました!!

あるファンの言葉を借りると、まさに、

「今日は玲さんにやられちゃったね~!!」

なんというか、期待して乗り込みましたが、それを遥かに上回る演奏でした!

*  *  *  *
 
この日は、高木さんの著書の発売日でもあり、しっかりサイン本をゲット(^^)v
読み中ですが、巨匠時代のピアノと今のピアノは何が違うのか、とか、
このCD75の出会い、これまでの経緯、ローズウッドのピアノとの関係など、
なかなか盛りだくさんで興味深い内容です。
 
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*  *  *  *
 
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コメント 10

獏

サイン本ゲット 御目出度う御座います^^)

by 獏 (2013-06-23 07:19) 

ぼくあずさ

人生の宝物が詰まった色々なポケットをお持ちですね。
羨ましいことです。
by ぼくあずさ (2013-06-23 09:00) 

銀狼

ご自分が大ファンの方の事となると
ついつい文章も力入っちゃいますよね!
私もよ~く判ります^^;

by 銀狼 (2013-06-23 12:21) 

ゴーパ1号

さすがのプログラムですね^^;
by ゴーパ1号 (2013-06-23 19:38) 

駅員3

これはこれは、至福の一時でしたね♪
by 駅員3 (2013-06-24 13:45) 

美美

楽しまれたようですね^^
by 美美 (2013-06-26 19:13) 

さといも野郎

>kinkinさん、朝蔵哲也さん、世界のアイドルさん
 nice! ありがとうございます。

>獏さん
 今回は、似顔絵スタンプ有の、気合のサイン本ですv(^^)

>やってみよう♪さん、いっぷくさん
 nice! ありがとうございます。

>ぼくあずささん
 こういう超一流の方々とお会いさせていただくと、
 自分ももっと頑張らなきゃ、と勉強にもなります。

>銀狼さん
 お互い、アクセルONになると、ブーストが掛かっちゃいますね~(^^;

>ぼんぼちぼちぼちさん
 nice! ありがとうございます。

><ゴ>さん
 プログラムに反応しちゃうあたり、さすがでございます(^^

>YUTAじいさん、亀仙人 タカヨシさん、ニッキーさん、
 ちょいのりさん、Falconさん、suzuran6さん
 nice! ありがとうございます。

>駅員3さん
 いやはや、普段のモヤモヤとかは完全に吹き飛ばす別世界でございました(^^)v

>koh925さん、yogawa隼さん、2kさん、裏・市長さん、sonicさん
 nice! ありがとうございます。

>美美さん
 これが聴きたくて仕事に行っているような今日この頃です(^^;

>sachiさん、さる1号さん、genさん、うたぞーさん
 nice! ありがとうございます。

by さといも野郎 (2013-06-29 20:28) 

さといも野郎

>sumijuniさん、有城佳音さん、燕っ子さん、足立sunnyさん、
 MDISATOHさん、ネオ・アッキーさん、ドラもんさん、あるまーきさん
 nice! ありがとうございます。

by さといも野郎 (2013-07-07 14:59) 

さといも野郎

>くらいふさん
 nice! ありがとうございます。

by さといも野郎 (2013-07-15 17:22) 

さといも野郎

>schnitzerさん
 nice! ありがとうございます。

by さといも野郎 (2013-08-03 17:39) 

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