ピアニストではなく・・・ [ピアノ]
16(月)の、江口玲さんのリサイタルをあらためて振り返ってみます。
#というくらい、今でも印象に残っています(^^
江口玲さんというと、メディアに取り上げられることもほとんどなく、
知名度的には非常に低いと思います。
実際、キーシン、ポリーニ、ラン・ランとか、
中村紘子、フジコ・ヘミングとかは知ってても、
江口玲?誰それ??
というのが多くの方の正直なところでしょう。
しかし、16(月)のリサイタルを(初めて)聴いて思ったのは、
ピアノの音、歌いまわしの美しさ。
どの曲も緊張感が途切れることなく、流れも淀むことも全くありませんでした。
曲ばかりか、プログラム全体がそうでした!
CDである程度感じてはいましたが、
だからこそリサイタルに行ったわけですが、
生で実際に聴くと、驚きの素晴らしさでした!
弾いている最中の姿は、非常に姿勢が良く、
表情は常にリラックスした感じで、腕、手首のバネが非常に柔軟でした。
必要十分なだけの体重移動はありましたが、
ほかの演奏に無駄ともいえる動きは全くありませんでした。
#気持ちが入ってる?ような「のけぞり」とか、
「今凄い難しいところを弾いてるぞー」的なアレは皆無というこです(^^
音しか評価しない私(笑)としては、
むしろ見た目に注意を奪われることなく、
演奏を聴くことに集中できました。
そういうのこそ、理想的な奏法なんだと思います。
そんな弾いているときの淡々とした姿とは全く逆に、
あふれ出てくる音楽は音色の多彩さ、色彩感と遠近感、
そして歌わせ方、どれも実に素晴らしかったです。
そして、リサイタルが終わったときに思ったのは、
なんて楽しいコンサートだったんだろう、という満足感。
弾いている曲には、技巧的に凄い曲も含まれていましたが、
それよりも音楽の楽しさ、美しさがいつまでも印象に残りました。
#ダンパーが折れた、あのピアノはもうお元気になったそうです。
当日の様子・修理話とか⇒タカギクラヴィアさんのblog
実は、1/3000以下の確率の場面に私は遭遇していたらしい(^^;
当日、壇上で「こないだは鍵盤折ったよねー(笑)」
と言っていたのは冗談だったらしい(^^
このピアノ+江口さんコンビにまた会いたいなー(^^
そうだ、他のピアニストと決定的に違ったと感じたのは、
弾いているピアノとの信頼感、一体感だったと思います。
他の人のコンサートでは、
「だれだれさんが、でっかいスタインウェイを弾いていて、非常にいい音だったよ」
でした。
ピアノは単なる楽器、演奏するのはあくまで私、
そういう感じ。
しかし、江口さんのリサイタルでは、
このピアノは私の共演者である
というのを強く感じました。
このピアノでしか出せない美しさ、良さ、個性を上手く引き出し、
そして尊敬し、一緒に音楽を奏でているのを感じました。
* * *
たぶん、バリバリ鳴ってりゃいいや系のピアニストが弾いても、
あのピアノはきっといい音がすると思いますよ、すごくいいピアノですから。
* * *
でも、そういう表面的な迫力ではなく、
その向こうの本質まで到達出来ている、そこが違っていたと思います。
ホロヴィッツも言っていた、
「大切なのは中身」
まさにそいうこと、それを体験できたとおもいます!
コンサート後のタカギクラヴィアの社長さんの言葉が
江口さんをよくあらわしていると思います。
「単にピアノを弾く、そういう意味のピアニストではない。
彼は、本当の音楽家なんですよ!」
もしホロヴィッツが生きていたとしたら、
それでも江口さんのコンサートに行くか?
これはもちろん”YES”ですね♪(^^
素晴らしいコンサートだったんですね!
私は以前音楽をやっていたものとして、マイインスツルメントが、私のよき相棒であり、自分の楽器無しには、人に聞かせる演奏など有り得ませんでした。
そこにいくと、ピアノは自分の楽器を持ち歩くわけにもいかず、ピアニストの人達は、凄いなぁと思っていました。
江口さんがピアノを信頼して演奏されていたのは、ご自身の持ってらっしゃる技術…もちろん並大抵な事ではない練習に裏打ちされた…があるからなんでしょうね。
by 駅員3 (2009-11-23 15:23)
その場その場の楽器と上手に付き合わなければならないので
江口さんのリサイタルの演奏は、理想であり、羨ましい限りです。
by ゴーパ1号 (2009-11-23 20:24)
おはようございます。
大切なのは中身!!
何にでも通用することばですね。
by BPノスタルジックカーショー (2009-11-24 05:15)
>ほりけんさん
nice!ありがとうございます。
>駅員3さん
そりゃ素晴らしいコンサートでした!
技巧的には最高のものを持ってらっしゃるのは明らかですが、
歌わせ方、あえてこのピアノとコンビを組み、その表現力の限界で勝負する、
そういうところが非常に素敵でした。
>キャラハンさん
nice!ありがとうございます。
><ゴ>さん
そうですよね、レベルの(大きな)差こそあれ、私もその場その場のピアノとの
お付き合い、というのがちょっと大変です。
江口さんみたいに、自分の好みにどんぴしゃのピアノにめぐり合える
というのは理想ですよね。
そして、そのピアノと組む責任をしっかり果たしてそのコンビでしか出せない
演奏をされているのが、またさらに凄いと思いました。
>komoさん、ぼんぼちぼちぼちさん、燕っ子さん
nice!ありがとうございます。
>ノスタルジックさん
これからの時代、ますます「大切なのは中身」になっていきますよね、何事も。
>schnitzerさん、shinさん、CASCO事業部 Jさん
nice!ありがとうございます。
by さといも野郎 (2009-11-26 22:50)
>くらいふさん、sonicさん
nice!ありがとうございます。
by さといも野郎 (2009-12-05 21:43)